『倫理としてのナショナリズム』佐伯啓思(NTT出版)
今日、人が求めているのは、決してコスト競争に勝ったグローバルな大量生産商品などではないし、「価格破壊」された商品を買い込むことでもない。
ゆとりをもった、他者と共有できる時間、共同の活動への参加、かけがえのない価値を実現するための共同作業、そして、こうした信頼できる他者との交わりの中で得られる敬意や承認、こうしたものである。
他者から承認を得、是認され、そしてできれば敬意を払われること、およそ「善き生」はこうした条件を離れてはありえない。独我論的で主観主義的自由の中には、「善き生」はありえない。 「善き生」は信頼できる他者との共同の活動の中からしか出てこない。
・・・今日、重要なことは、他者からの確かな是認を得ることである。 そして、われわれの社会は、様々なレベルでの「共同のつながり」を持っている。 家族や友人の集まり、自発的な集団、クラブ、地域コミュニティ、企業組織、学校、NPOネットワーク、宗教的集まり、そして国家である。
こうした、多様な次元において、開かれた集団のもつ共有価値があり、諸個人は、この価値にコミットすることによって多様な「共同のつながり」に属している。これらの「共同のつながり」へ参加できる機会を確保し、その場を設定し、そこで一定の役割を果すことで、敬意をもって他者と交わることができる。
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