2007年7月14日土曜日

消費資本主義がもたらす「働きすぎ」

『働きすぎの時代』森岡孝二(岩波新書)より

ショアは『働きすぎのアメリカ人』において、アメリカにおける長時間労働の実態と原因を明らかにして、1930年代以来長らく忘れられてきた労働時間論議に火をつけた。ショアによれば、アメリカ人が働きすぎになった背景には、「働きすぎと浪費の悪循環」ともいうべき「ワーク・アンド・スペンド・サイクル」(work and spend cycle)がある。

ショアが労働に対応する消費の面からこのサイクルを論ずるために著したのが『浪費するアメリカ人』である。アメリカ社会に出現した「新しい消費主義」を主題にしたこの本では彼女は現代を「消費社会」あるいは「消費資本主義」ととらえ、その原動力を消費の競争的性質に求めている。

彼女が説いているように、資本主義の発展にともない勤労大衆の所得水準がある程度向上し、中流階級を中心に大衆購買力が形成されるようになると、消費を自己目的とする浪費的なライフスタイルが大衆的減少となり、消費資本主義が誕生する。このような意味での消費資本主義はアメリカでは1920年代に、日本では1960年代に現れた。

ショアの説くところでは、人々は消費において、他人と比べ、他人と張り合い、他人に誇示する。
消費のこうした側面については、金持ちの「見せびらかし消費」(衒示的消費)を論じたヴェブレンの『有閑階級の理論』でも取り上げられていた。

・・・こういう消費環境においては、人びとは、質素な生活をもってよしとせず、欲しいものをできるだけ手に入れるためには、仕事はきつくても、労働時間は長くても、残業や掛け持ち仕事をしてでも、できるだけ多くの収入を得ようとする。

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