『日本のニート・世界のフリーター』白川一郎より
オランダは良好な雇用情勢で有名である。90年代には「オランダの奇跡」として、その良好な経済パフォーマンスが、世界中に喧伝された。
2004年におけるオランダの失業率は4.6%であり、ヨーロッパ諸国の平均(9.2%)、OECD加盟国平均(6.9%)に比べ、良好なパフォーマンスを示している。若者(15~24歳)失業率も、全体の失業率よりは高いものの、8.0%と他のヨーロッパ諸国に比べ格段に低い。
オランダはかつて「オランダ病」と揶揄される経済停滞・高失業の病に悩まされていた。80年代初めのことである。(この経済不況の詳細についてはここでは割愛する)この経済停滞を打破するために、「ワッセナ合意」と呼ばれる政策が採られた。ワッセナとはオランダの主要都市ハーグの隣に位置する港町であり、ここに経営者・労働組合・政治家などが非公式に集まって経済再生の策を練ったのである。
オランダ経済の再生には、国際競争力をつけることが必要だが、その具体的方針として「労働組合が賃金抑制を受け入れる」「政治家は財政赤字を削減して減税を実施する」「経営者は、時短によって雇用を創出する」という三者の合意がなされた。
一般的には、労組が賃金抑制を受け入れたことによって、労働分配率(生産活動が生み出した付加価値のうち、どれだけ人件費に向けられたを示す割合)が減少し、企業価値が高まったことで、オランダ企業が国際競争力を取り戻し、経済が再生したという説明がなされている。これが他の先進諸国が経済停滞に悩む中で、90年代にオランダ経済がひとり気を吐いた背景である、と言われている。当時、オランダモデルとか「ポルダーモデル」と称されたのは、このような状況である。
労働組合の力が強い国ほど失業率は多い、とよく言われるが、オランダモデルのようにときには労働組合が賃金抑制を受け入れることで、失業率は減少し、かえってその方が労働者全体にとってはプラスとなりえることがある、という教訓ですね。
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